柳家喬太郎~幻の金明竹(聴きたかった・・)
沼津笑劇場ワッハ第13回公演 まちなか寄席
柳家喬太郎独演会
9月21日(日) 13:30開場 14:00開演
沼津市魚町サンフロント9Fホール
客席満員・・196席(4、6、4の14席×14列だった気が)
年齢層は高め、自分の座った4人がけは60歳台と思しきの女性2人と男性1人。
これでは諜報員メアリーとか新作落語中心だと引くぞ・・そういう配慮があったか
どうかわからないけれど、古典二席と新作一席でした。
14時、時間通り喬太郎師登場、マクラを話し始める。
さん喬師匠との親子会でかつてこの会場に来たことがあったなぁ、なんの感慨も
ありませんけどね。とジャブ
一席目、マクラから本題へ入る。おじさんの家で奉公をしている松公に店の前の
打ち水の下手さを叱って、二階の掃除を言いつける。
すると、おじさんの首筋にぽたりぽたりとしずくが・・おっ、こいつは『金明竹』だな。
『金明竹』は去年、立川笑志時代の生志師匠で聴いている。楽しみ楽しみ。
・・・と思っていたら、めくりが『まちなか寄席』のままであることに気付いたスタッフ
が申し訳なさそうにめくりを『柳家喬太郎』に。
すると、噺を中断された喬太郎師、どこまで本心か分からないが、スタッフに
毒づき(大爆笑)最初からやり直しましょうか?と出囃子からやり直すことに。
えっ、まじで怒ってる?と思っちゃうような邪悪さかげんで毒を吐く。
やらかしちまったスタッフは肝を冷やしたことでしょう。
もう一度金明竹のやり直しかと思ったら、夫婦の縁とは不思議なもの・・と
急遽『たらちね』に変更!!
三席目の『錦の袈裟』もそうだが、喬太郎師の手にかかると手垢のついた
古典がずいぶんと新鮮で現代的で身近なものになる。
こういうところから落語を聴き始めたらたちまち落語にはまるんじゃないか。
ただし、『たらちね』のサゲは若い人にはわかり難いと思う。
「飯を食うのが恐惶謹言なら、酒ならよって(=酔って)件の如しか」
自分もサゲの意味が解らずに初めて聴いたときすぐに調べた。
『たらちね』を終え下がるかと思いきや、「過去の出演者の記録を見ると
みんな三席やってるんですねぇ、余計なことしやがって」・・と、もう一席。
『孫、帰る』(ネットで調べると人の作品らしい)
今日はこの一席を聴けただけで来た甲斐があった!この噺はいい!
大好きだ!人情噺です。
マクラは夏休みの話、「お盆休みは寄席ですよ」
寄席で自爆テロが起きたなんて話聞いたことありませんからね。
もっとも芸人はよく自爆してますけど・・
他にもついてこれないほとんどの客を無視したゴジラ話などしまくり。
自分も4割くらいしかわからず。何しろ10年下なので。
テンポよく客を爆笑させる。
噺は、お盆前にお爺ちゃんちに帰省したタケシとお爺ちゃんとの会話から
成り立っている。
爺さんちに帰ると爺さんがいない。探してみたら箪笥の上にうずくまっている。
聞けば飼い猫のタマがいる場所がこの家で一番風が通る場所のはず、冷房嫌い
の自分は、だからタマのいた箪笥の上に上ってみたのだと。
でも上ったはいいけど、自分の体の大きさを考えるの忘れてた・・
見ればタマは今度は屋根の上にいるではないか。爺さんは迷うことなく梯子をかけ
タケシを伴い屋根の上に。
久しぶりの再会で屋根の上では話に花が咲く。
「覆水盆に返らず」とは言うけれどどうして別れちゃったんだろうねえ、母さんと
二人で寂しくないか?
(「覆水盆に返らず」をどういう場面で使ったか記憶が曖昧だが、確かこんな会話
をしていたと思う。起きちゃった事故はどうしょうもない・・みたいな内容だったかなぁ)
タバコを吸おうとする爺さんを咎めるタケシ。
分煙、分煙うるさいんじゃ!もしやと思ったらここの楽屋も禁煙だった。
客に混じってエレベーターに乗って下で吸わなきゃなんない、と素の喬太郎師の
心の叫びもおりまぜ。
さて爺さんは現在、タケシが以前通っていた学校の前で交通安全の旗振り(緑のじじい)
をしているという。
「そこは、僕とお母さんが事故に遭った場所じゃん!」
・・・話の展開が思わぬ方向へ
思っていることは何でも隠さなくていいからこのお爺ちゃんに言ってみなさいと
言われ、「お爺ちゃん、やっぱり、僕まだ死にたくなかったよ・・・」
・・・一気に会場が緊張に包まれていくのが手に取るように分かる。
ぞくっとした。
タケシは幽霊だったのだ。この後タケシがお爺ちゃんに肩を叩いてあげるよと
肩を叩くが、幽霊ゆえ爺さんの肩を手がすり抜けてしまってどうしても叩けない。
でも爺さんは「格別に気持ちいいぞ」とタケシをほめる。
・・・ここの表現の巧さったらない!満員の場内の空気がピーンと張り詰めている。
前半のハチャメチャな馬鹿ばかしさがあるだけに、このホロリとくる場面でみんな
やられちゃう。
タケシはバイバイと消え、そこへばあさんが帰ってくる。
気が早いねえ、タケシは。まだ迎え火もたいてないのに。で、またどうして一人で
帰ってくるの?お母さんと一緒に帰ってくればいいのにねぇ。
そりゃダメだ「複数盆に帰らず」
--仲入り--
『錦の袈裟』
三遊亭金馬のCDで割りと最近聴いてよく笑ったけれど、今日もたくさん笑いました。
こちらのサゲは『たらちね』と違って解り易くていい。
与太郎がお寺に袈裟を借りに行かされるときと、帰って来てふんどしを締めて貰う
ときの嫁さんとのやり取りが実に艶っぽくていい。もちろん大爆笑も伴ってる。
あっという間の1時間半。これで800円とは!!素晴らしすぎる。
それにしても、幻の『金明竹』・・聴きたかったなあ。
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